「実学」稲盛和夫

 工学部応用化学科を卒業し就職した碍子メーカーが業績不振になり、社員8人をで京都セラミックを起業。会計知識がないことが幸いし、常識に囚われない経営の原点と会計の本質を見抜き大企業に育て上げ、さらにKDDIを設立しコピー機の三田工業と日本航空を再生した稲盛和夫の経営哲学とノウハウを凝縮した1冊。

 原理、原則、本質を追求し妥協を許さず自他共に厳しい完璧主義を貫き90歳で天寿を全うする。人の心をベースにしながら人の弱さ(自分優先)も知ったうえで、ダブルチェックで甘えを許さず不正を防ぐ確固たる経営哲学と会計システムの構築で発展してきた。

キーワードは、公平、公正、正義、努力、勇気、博愛、謙虚、誠実

 経営の原点は、売上を最大に経費は最小にする。生易しくはないが知恵と創意工夫と努力が必要。幹部教育に「夜鳴きうどんの屋台を引かせる」実地訓練の話はわかりやすい。原価計算、値決めは(売り手、買い手が納得の最高の値段)は経営の最重要事項である。しかし、うちのような零細企業でもこれは本当に難しくて、技術・付加価値の適正価格がいまだにわからない。

 キャッシュベースで考えないと、不良資産で足をすくわれる。儲かった金がどこにあるか常に考えないと経営はできない。

 見栄をはらず、無駄なものは捨てて、額に汗して得る利益が尊い。大幅な値引きと人情で野菜を大量購入して腐らせた実家の母の話とか土地ころがしのマネーゲームに目もくれなかった話など冷静に後から考えれば当たり前の話なのだが弱い人間はなかなかできない。原理原則を守ったから結果として上手く行くという事なんですがなかなかできないことです。

 原理原則を守らず粉飾決算など企業不祥事が多発する今日稲盛和夫さんのようなトップが世に出にくい日本の風土がねえ・・日本のトップを見ていても心配だなあ~総理大臣こそ公平、公正、正義、努力、勇気、博愛、謙虚、誠実であって欲しいんだけど!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA