MCTオイルについて考察

獣医

流行りのMCTオイルをポチってしまった

 MCTオイルは、「Medium Chain Triglyceride(ミディアム チェーン トリグリセリド)」の頭文字をとったもので、日本語では「中鎖脂肪酸」と呼ばれています。

 このMCTオイルが流行っている訳は、直接肝臓に取り込まれる吸収速度が速く、エネルギーとして速やかに代謝されるため脂肪がつきにくく、MCTオイルでエネルギーを補給すると余分な皮下脂肪が減ってスタイルが良くなるからでしょうか。また、脂肪酸の刺激によって小腸下部から分泌されるエンテログルカゴンが胃酸分泌抑制作用を示すことで、胃内滞留が長くなるため満腹感が持続するので空腹感を抑えることが出来ます。

 今までの食生活を変えずにMCTオイルをサプリ代わりに足すと脂肪と同等のカロリー(9kcal/g)があるのでカロリーオーバーで太ります。ですから糖質を減らしてMCTオイルを増やすことが大事なことのようです。ごはん1杯156kcalなのでMCTオイル17g食べるとご飯1杯へらさないといけないんですね。

 MCTオイルを初めて食べるときは5g/回くらいから初めて15gが最大のようです。

 また、脂肪は体内で下記のような働きをする為、人の健康にとって欠かせない存在であると言えます。

・ 活動のエネルギー源(カロリー)

・ 人体の細胞膜、ホルモン、核膜などを構成

・ 皮下脂肪として臓器や外部刺激(寒さや物理刺激)からの保護(バリア機能)

・ 脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収促進

動物は活動のエネルギー源として「糖質」と「脂肪」からの2つのエネルギーの産生経路をもっています。

 糖質は炭素と水の化合物で植物の光合成で作られ炭素の数により単糖類、二糖類、多糖類(でんぷん)に分類されます、口に入った多糖類は唾液に含まれるα-アミラーゼによって,多糖類が初期消化を受け、膵α-アミラーゼにより,マルトトリオース,マルトース,イソマルトースおよび一部はグルコースまで分解され小腸粘膜の微絨毛に存在する二糖類水解酵素(マルターゼ,スクラーゼ,ラクターゼ)により単糖に分解され,それと同時に細胞内に吸収され直ちに小腸粘膜上皮細胞に取り込まれ,門脈を介して肝臓に運ばれるた後血中へと放出され組織で利用される.利用されない分はグリコーゲンとして肝臓と筋肉内に貯蔵される。

 糖質の主な役割は,脳,神経組織,赤血球など,通常はグルコースのみをエネルギー源として利用している組織に,グルコースを供給する。

 脂肪は十二指腸に到達すると、消化管ホルモンであるコレシストキニン(CCK)やセクレチンが種々の消化酵素(リパーゼも含まれる)が作用し、長鎖脂肪酸等は、十二指腸で胆汁酸にて乳化され、膵液リパーゼでモノアシルグリセロールと脂肪酸にほとんどが加水分解されます。胆汁塩とトリアシルグリセロールでミセルを形成し可溶化、小腸の上皮細胞の表面でミセルから抜き出され、細胞内でトリアシルグリセロールに再合成された後、他の脂質との複合体であるカイロミクロン(リポたんぱく質)を形成して、リンパ管を経て血液に入ります。血液に入ったそれらは、脂肪細胞や筋肉、組織でトリアシルグリセロールの70~90%を放出した後、肝臓に取り込まれます。

 脂質のうちグリセロールと短鎖・中鎖脂肪酸は門脈を通じ肝臓に取り込まれます。MCTオイルは中鎖脂肪酸のためリパーゼの作用で分解されると、門脈を通り直接肝臓に取り込まれるため吸収速度が速く、エネルギーとして速やかに代謝されます

このように、化学構造で消化・吸収のされ方が変わってくるんですね。

化学構造的な分類を整理してみましょう。

脂肪酸は、C-H-Oの端っこに-COOH(カルボキシル基)がつきます。

炭素数の違いによる分類

短鎖脂肪酸(2~6) 酢酸、酪酸

中鎖脂肪酸(6~12) ココナッツオイルやパームオイル 

長鎖脂肪酸(14以上) キャノーラ油やごま油、オリーブオイルなど、日常的に使っている植物油はほぼ長鎖脂肪酸

二重結合の数による分類

飽和脂肪酸  炭素同士が二重結合せず水素と結合している(常温で個体)

不飽和脂肪酸 炭素同士が二重結合(1個)している(常温で液体が多い)

多価不飽和脂肪酸 炭素同士が二重結合(2個以上)している オメガ6系やオメガ3系の脂肪酸の脂肪酸は体内で合成することが出来ない為、必須脂肪酸とも呼ばれている

二重結合の位置にによる分類

n-3系(オメガ3)後ろから3番目 α-リノレン酸、DHAやEPA

n-6系(オメガ6)後ろから6番目 オレイン酸

トランス脂肪酸

 植物油を高温にして脱臭する工程で生じる脂肪酸HDLコレステロールの低下とLDLコレステロールの上昇を引き起こすと報告されている

体の働きとしての分類

「飽和脂肪酸」中鎖脂肪酸

・ エネルギーとして使われやすく、体内で合成できる脂肪酸

・ 一般に過剰摂取になりやすく、過剰摂取は健康面でデメリットあり

・ 物質として安定(炭素鎖2重結合を持たない構造)

・ 肉、乳製品(牛乳、バター)卵黄、チョコレート、ココナッツ、パーム油などに多く含まれる

・ ステアリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸など

「一価不飽和脂肪酸」

・ オメガ9系脂肪酸とも呼ばれる

・ 比較的エネルギーとして使われにくく、常温で液体の脂肪酸

・ 物質として不安定(炭素鎖2重結合を一つ持つ構造)

・ オリーブオイル、菜種油、アボカド、タラ肝油、イワシ油などに多く含まれる

・ オレイン酸、ミリストレイン酸、エイコセン酸など

「多価不飽和脂肪酸」

・ オメガ3系、オメガ6系脂肪酸に分類される

・ 体内で合成できない必須脂肪酸を含む

・ 物質として不安定(炭素鎖2重結合を一つ以上持つ構造)

・ 魚油(青魚)、植物油(トウモロコシ油・大豆油・サラダ油等)、クルミ、えごまなどに多く含まれる

・ リノール酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコペンタエン酸(EPA)など

トランス脂肪酸

・ 植物油を高温にする過程などで生成される脂肪酸

・ 健康に対するマイナス面が報告されている

・ マーガリン、ショートニング、加工油脂などに含まれる可能性がある

まとめ

「脂質」のうち「飽和脂肪酸」は過剰摂取の傾向があるので、意識して適量を心がける。「一価不飽和脂肪酸」や「多価不飽和脂肪酸」のうち特に必須脂肪酸にあたるものは、体内で合成できないので意識して食事からとるようにする。「トランス脂肪酸」は極力取らないことが、健康上はプラスになるという事になります。

 油にはそれぞれにメリットがあり、カラダへの働き・役割は異なります。脂質はカラダにとって非常に大事な働きをしていることから、1つのオイルに偏るのではなく、いろいろなオイルをバランスよく取り入れていくことが結局はカラダのためになり、健康・美容の面でも良いのではないでしょうか。

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