イコライザー(EQ)
音は秒速340m、人の可聴域は20Hzから20,000Hz、空間の大きさ音の跳ね返りで定在波の特性が違い音の聞こえ方が違ってきたり、マイクが拾う音のフィードバックループでハウリングという不快な音が発生したりする。これらの問題を解決し元の曲やオーディオ機器の個性を殺してしまわないよう強調したい音以外の必要のない音を下げる引き算的な調整が基本的なイコライザーの使い方なのだが初心者は逆に足し算的な使い方をしてしまうことが多い。
基本がわからず見よう見まねでやっているとやらない方がいいことも多い。
まずは、ハウリング対策が重要なのだが、ハウリングする周波数の音量を元の音をなるべく損なうことなくハウリングしない程度まで下げる。ただEQだけでなく、マイクの向き持ち方、指向性、スピーカーとの位置関係なども関係してくるので総合的なバランスのよい対策をとらなくてはならない。ボーカルが振り付けでマイクを振り回すこともあるし、演奏者が気持ちよくパフォーマンスを発揮できる最善の努力をある機材で対策をしなくてはならない。
フラットなのかドンシャリなのか、人それぞれ好みが違うのでどれが正解とは言えないが一般的に次のような使い方がされている。
ハイパスフィルター(高い周波帯域の信号のみ通し低音をカットする)
低音域は高音域の邪魔をして聴こえていない状態になるのでのHPFでカットした方がMIX全体がスッキリとしダイナミクス系エフェクトも余分な低域に反応することがなくなるため、かかり方が綺麗になります。
また、ハムノイズなどの外来ノイズやマイクの吹かれ、ポップノイズなども、その多くは低域に乗ってきます。PA/SRではそういった意味もあり、HPFを使用することが多いです。
楽器別のイコライジング例
- ボーカル
前に出るサウンド作り
2~3kHz辺りを軽くブーストし3~5kHzが出過ぎないようにコントロールするる(自然に持ち上げるために、Qの幅は少し広めに取る)
持ち上げる量は3dBくらいまで、耳障りな子音はEQでカットしようとすると、不自然になりがちなので、ディエッサーという特定周波数だけにかかるコンプレッサーで処理するのが一般的。
- アコースティック・ギター
80~100Hzが豊かさ、ホールからの低音、250Hz周辺がボディの鳴り、2~5kHzが張り付き感、10kHzがシャリシャリしたきらびやかな部分になります。
楽器編成が小規模のときはいじらない方が自然ですが、大編成になると低音が邪魔な上、上げても聴こえないことが多いので、薄くカットするとよい。
- エレキギター
250~500Hzで豊かさ、ふくよかさ、
1.5~2.5kHzで張り付き感やクランチの張り出し、
5kHz周辺がジヤリっとした弦の輪郭を出す部分、
10kHz以上がクリーン・トーンやコーラスをかけたサウンドの空気感を強調する
感じです。
250Hz以下にも低音は入っていますが、音というより風という感じの部分なので、特にこだわりが無い場合はカットしていくことが多いです。
エレキギターは意外に周波数レンジが狭く、野太いサウンドを作ろうと思って低音を上げても、あまり変化が感じられないことが多いです。そのようなときは700Hz辺りを軽く持ち上げてあげると、イメージに近い太さが得られる。
- ベ-ス
700~1kHzをブーストするとパンチが出る。
- ドラム
キック “ドスッ”というローエンドは50~100Hz
タム 250~500Hzあたりで太さを強調する
八イハットとオーバーヘッド 8~10kHzをブーストしてハイファイに
イコライザーの種類
- パラメトリックイコライザー
3つの項目(パラメーター)を調整できる。中心となる周波数、調整する帯域の幅、音量である。このうち特に帯域の幅については、広げると周辺の帯域となだらかにつながるため、隣接する帯域も調整している場合はそれとの兼ね合いも重要である。複数のパラメトリックイコライザーをひとつの製品にまとめてあるものミキサーが多い。
ちなみに、ライブカフェ大地で使っているZOOM L-12は
High 10 kHz シェルビング タイプ 15 dB ~ +15 dB
MID 中域用イコライザーの中心周波数を選択しピーキング タイプ 15 dB ~ +15 dB 100、140、200、250、315、500、800、1k、1.3k、2k、3k、5k、8 kHz
LOW 100 Hz シェルビング -15 dB ~ +15 dB
LOW CUT 75 Hz 以下の信号を 12 dB/oct で減衰
ちなみに使い方は、設定したいチャンネルを[SEL]キーで選択し[EQOFFキー]を消灯し、各EQを設定する。
- グラフィックイコライザー
直線的なスライド式で、ある周波数帯域に割り当てられているつまみを上下に動かすとその帯域の音量も上下するようになっており、複数のつまみの位置が概観できるように配置してある。
ミキサーから出力の後スピーカの前にかまして、全体のバランスとハウリング対策に使われることが多い。またハウリング対策にはFBS(Feed Back Suppressor)というハウリングポイントを自動的に検知して下げる便利な機械がある。