睡眠あれこれ

 年をとると寝付きが悪かったり、深夜目が覚めて寝付けない中途覚醒があったりで睡眠時間が4時間くらいというのがよくある。

 睡眠時間が短くても、翌日体がだるかったり、眠かったりが無くて生活に支障がなければ病気までとはならないですが、若い時のようにぐっすり朝まで寝たいもんです。

睡眠の質を下げる原因としては

  • 寝なくてはという強迫観念
  • 寝る前の酒、食事、パソコン・スマホのブルーライトなど生活行動習慣
  • 室温や雑音や明るさなどの環境

入眠対策

  • 規則正しい生活で体内時計をリセット
  • 起きてから2時間以内に朝日を浴びる
  • 昼寝は午後12時から3時までの間で30分以内にとどめる
  • 室温・雑音・部屋を暗くするなどの環境改善
  • 寝る2時間前に風呂に入る、パソコン・スマホを見ない

中途覚醒対策

  • 日中の運動量を増やす(できなければ、ながら運動でも良い。仕事しながらスクワットとか)
  • 寝る前に酒を飲まない(睡眠が浅くなる)どうしても飲むなら早めに・・
  • 寝る前に食事をしない(消化活動が活発になる)
  • 寝る前に水分を摂り過ぎない
  • 中途覚醒して30分以上寝付けない時は、場所を変えてストレッチでリラックス
  • 4-7-8呼吸法を4回以上(酸素不足解消、交感神経系が鎮まる)
  1. 鼻から4秒間、息を吸う
  2. 7秒間、息を止める
  3. 8秒間かけて口から息を吐き出す(フーと音が出るくらい)

 自分で気持ちいいと感じる速度でカウントすることが大事です。

  • 悪夢で目が覚めたときは

    イメージリハーサル法 悪夢の続きをハッピーエンドに書き換える

睡眠薬のあれこれ

日経メディカル Onlineの医師会員を対象に、睡眠薬(経口)のうち最も処方頻度の高いもの

第1位 ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー5mg錠 薬価24.2円)43.1%

非ベンゾジアゼピン構造を有し、中枢のω1受容体に選択的に作用。作用持続時間が短いにもかかわらず途中覚醒、早朝覚醒にも効果を示すことが報告されている。翌朝までの持ち越し効果が少なく、長期間服用しても依存性が出にくい

第2位 スボレキサント(ベルソムラ15mg錠 薬価90.8円)は12.8%、

覚醒を促進するオレキシンの受容体への結合を阻害する、世界初のオレキシン受容体拮抗薬。投与1週時、1ヵ月時、3ヵ月時の時点において、入眠障害、中途覚醒に対して効果が認められている。

第3位 エスゾピクロン(ルネスタ1mg1錠 薬価36.2円)は12.2%、

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬。ルネスタの血中濃度半減期は、マイスリーよりも長いです。マイスリーと比較するとルネスタのほうが作用時間が長く、効き目が長いと言えます。入眠後の早い時間に目が覚めてしまう場合に応用しても良いかもしれません。

第4位 ブロチゾラム(レンドルミン0.25mg錠 薬価14.7円)10.4%

ベンゾジアゼピン系睡眠薬で、脳の神経細胞の活動を抑える作用をもつGABAの働きを強める作用で催眠作用を強く促す。服用後約1.5時間で血中濃度が最大になり、半減期は約7時間。

 睡眠薬に頼りすぎて、睡眠薬がないと寝れない依存症になるのが怖いですよね・・・薬に頼らず、生活習慣を正して自然に寝れるようになりたいものです。

「うつ・不安・不眠の薬の減らし方」

睡眠サイクル

睡眠のコントロールは2プロセス、眠気と体内時計

 スニップスと呼ばれる脳内のタンパク質群のリン酸化が進むことによって睡眠の欲求(睡眠圧)がたまるプロセスと体内時計の覚醒シグナルが午後9時をピークに減少する(24時間周期)プロセスが重なることによって秒単位で覚醒から睡眠に変化する。睡眠によってリン酸化が解消される。

入眠後は、ノンレム睡眠ステージ1、2、3と深い睡眠に入りレム睡眠に変化するサイクル(90分)を数回繰り返し覚醒する。ノンレム睡眠のステージは脳波で分類される。

※脳波は多数の神経細胞から出される電気信号の集合で神経細胞がバラバラに活動すると周波数が高くなり同期すると周波数が低くなる。

ノンレム睡眠ステージ1:振幅の少ない脳波

ノンレム睡眠ステージ2:こきざみな振幅の紡錘波(12-14Hz)/海馬で作られた一時的な記憶を大脳皮質へ移して固定化する。

ノンレム睡眠ステージ3:デルタ波(1−4Hz)/脳のガベージコレクション・メインテナンス

レム睡眠ステージ:浅い睡眠

不眠症

不眠症の4種類

入眠障害 寝たいのに、なかなか寝付けず苦痛を感じる

中途覚醒 睡眠中に何度も目が覚めて寝付けない。高齢者に多い

早朝覚醒 予定より早く目が覚めてその後寝付けない。高齢者に多い

熟眠障害 睡眠時間は充分なのにぐっすり眠った気がしない。

 高齢になると、生理的に睡眠時間が短くなるのに若い時と同じくらい眠らなければと思い込んで不眠症になることも多い。眠れないまま長時間横になっているとなぜ寝れないのかと思い悩んでさらに眠れなくなるという悪循環に落ちいることも多い。どうせ寝れないならダメもとで、場所を変えてストレッチでリラックスしてリセットすると寝れるかもしれない。

睡眠負債

慢性的に睡眠不足がたまっている状態を睡眠負債がたまっていると言います。睡眠負債は、高血圧・がん・認知症に関係していると言われ寿命にも関係しています。

 平均7時間寝ている人の死亡率を1とすると、4時間以下の睡眠の人の死亡率は1.6で逆に10時間以上寝る人も1.7以上と睡眠時間が少なすぎても多すぎても死亡率が上がっています。

 睡眠不足で、食欲を増加させるグレリンというホルモンが増え食欲を抑えるレプチンが減ることによって食べる量が増えます。

 睡眠不足で、疲労感が増え運動量が減り、肥満が進みます。

 睡眠不足で、高血圧や2型糖尿病がなりやすとも言われます。

 脳の老廃物アミロイドβが睡眠中に脳脊髄液で洗い流されているのですが、睡眠不足で排泄が充分に行われないと老廃物がたまりアルツハイマーになりやすくなります。

こんなことを知ると、生活習慣を見直して正常な睡眠にしようと思わずにはいられませんね。