Over the Moon

読書

伊藤蘭初エッセイ”Over the Moon”わたしの人生の小さな物語(2023/12/10初版)

 伊藤蘭さん推し活の私としては見逃せない本、やっぱり買って読んでしまいました。

今までにもいろいろメディアには書かれてきましたが、本人によるエッセイなのでより内面的な事が書かれてあって興味深かったです。

 プライベートな写真もあったり、アッと驚くようなエピソードがあったりと予想外に面白い、最後のくだりで「人は誰でも幸せになるために生まれてきているとわたしは信じています・・・大切なことは一日一日を気持ちよく過ごす事・・絶対に大丈夫と信じ込むこと

 やっぱり芯のある努力家でいい人だなあと・・そしてまわりに良い人を引き寄せる魅力があるんだと思いましたね、藤村美樹・田中好子、伊東四朗、小松正雄、志村けん、水谷豊、作曲家、作詞家・・・とか。

 エッセイの構成は中学生でスクールメイツに参加してキャンディー誕生からキャンディーズ解散そして解散後の女優、ナレーターなどの芸能活動と歌手ソロデビューの話をまとめたA面と家族や結婚、出産など私生活に関する話をまとめたB面という構成になっています。

 また、家族の写真やら自身の最近のポートレイトもたくさんあって伊藤蘭の生き様がわかるような気がします。

A面

 引っ込み思案の女の子が演劇部で「今しかない!」と背水の陣の心境で主演の役を立候補して賞をもらったことが自分の殻を破るきっかけになり、演劇部の友達に誘われて入った東京音楽学院からスクールメイツへ、そして藤村美樹・田中好子 とユニットを組んでキャンディーズ誕生となった。

 世間一般では一世風靡したアイドルグループと思われているが、本人たちは歌手、コーラスグループと意識していたそうでコンサートで廻る時はリードボーカルを均等にとっていたということです。

 そして、デビュー当初から3年間頑張ろうという気持ちがあったそうです。3年が過ぎ持ち前の才能と努力でアイドルスターとなり毎日7~8本の仕事と睡眠時間も4時間と仕事が忙しくなり、キャンディーズが嫌になったわけではないがキャンディーズとしてやり切りそれぞれの人生を充実したごく普通の生活にしたいというシンプルな思いは自然に生まれた。

 芸能界に復帰する考えがなく解散したが解放されて自由な生活を1年半過ごした頃、普通の女の子に戻りますと言いながら芸能界復帰するカッコ悪さを感じながらも何かやらなくちゃという気持ちが大きくなり、カッコ悪くても自分の気持ちに正直に生きて前に進もうと映画デビューとなる。

 そして、当時まだ小さな前衛劇団「夢の雄民社」(野田秀樹)で芝居の世界に入り自分の内面の表現し自分を解放することに集中することになる。

 デビューしてから50年、常に少し先のことを考えながら決まった枠にはまらずマイペースで自由に柔軟にチャレンジし続けて(コーラスグループ、女優、結婚、出産、子育て、歌手ソロデビュー)こられたし、これからも続けるのだそうです。

 「人一倍の努力などやってないですよ、そんなに頑張っていません」と謙遜しながらも”頑張らないとできないことに挑戦しているのだから努力するのは当然と思い水面下で必死に頑張って、求められたことに真摯に向かいやりとおす・・・集中と息抜きを上手にコントロールしてやりたいことをやるというブレない生き方がかっこいいと思います。

B面

 子供の頃の好きな漫画「楳図かずおの漫画」「巨人の星」「サザエさん」

 手作りが好き、ナンタケット・バスケット(籐のカゴバック)作りと刺繍にはまる。

 小さいころから結婚願望はなかった。小さいころから父親は不在、母と兄から「近づいてくる男の90%は下心を持っている」と諭されて・・・

 結婚相手となった水谷豊さんは、楽しい話ができる先輩でお兄さんのような感じで(僕はキャンディーズのファンだった豊さんは下心90%あったと思うんですが)ゆっくり時間をかけながら結婚するのもいいかもと思い始めて「料理しなくてもいいから、結婚してください」とのプロポーズを受け取ったそうです。

 初めて聞く驚きの事実、結婚前に膀胱がんで入院した松田優作さんに促されて検査を受けた豊さんに初期膀胱がんが発見され手術・・・落ち込んで涙が枯れるほど泣いた後、家族に心配かけまいと知らせずに結婚し、前を向いてこの苦難を一緒に乗り越える。(ブレない蘭さんかっこいいですね)

 常に褒めてくれる母や6歳上の音楽が好きでバンドを組み米軍キャンプをまわって活動していた兄が芸能活動を応援してくれた。父は普段家にいなくて夫婦別居状態だったらしい(NHKのファミリーヒストリー伊藤蘭編では戦争のトラウマが原因のようなことを言っていたが)。

 解散後も、交流が続いていたメンバー3人。時には水谷家でキャンディーズで歌うことも・・・

 娘の小学校の余興に先生と豊さんと蘭さんでプライベートな3人芝居「3枚のお札」で夫婦共演(他には「少年H」という映画だけ)スタッフは父兄だが大道具・小道具・衣装・ヘアメイクなど小劇場並みのクオリティの高い舞台(教室)でテレビのドラマよりも良かったと好評で2回公演、この二人ならやりそうだなという雰囲気はありますが楽しそうですね。

 その娘の趣里さん、イギリスにバレエで留学するも怪我で帰国、演劇に転向し親の七光りを使うことなく活動しNHK「ブギウギ」にオーディションで選ばれ、女優として才能が広く知られるようになりました。歌もダンスも演技も出来てこれからもっと伸びて大女優になる予感がします。

 幸せは、人それぞれ他人の人生と比べて幸せかどうかではなく、自分で方向性や度合いを決めていくもの。

 1日1日を気持ちよく過ごすため、不満はなるべく口にせずポジティブに受け取り、問題が起きたときは早い段階で相談・対処し一人で抱え込まなず「絶対に大丈夫」と信じ込む。嫌なことは、ササっと黒板けしで消すように忘れて、「次っ!」と前を向いて歩く。

 相手が大事にしているものを大事にする(相手を傷つけない、そっとしておく)

読んでよかった・・・

 本人による自伝的エッセイ、そのブレない生き方や考え方に共感するところがあります。

 公にプライベートなことを書くのはとても勇気のいる大変なことだと思います。水面下で相当の努力をされ上梓された初エッセイ、読み応えがありレアな写真もありで、ランちゃんの生き方カッコイイ(努力できるのも才能なんですよね)・・ますますファンになりました。

おまけ/ランちゃんに聞きたい15の質問抜粋

Q5)座右の銘は

今日の自主練は明日の幸せ(笑)

Q12)欠かさない美容法は

頭皮まで風呂につかるといいと聞いたので、耳と鼻をふさいで頭まで風呂にもぐります(笑)