貧血
貧血の分類
大球性低色素性貧血・・再生性貧血
青みを帯びた大型赤血球が認められ、これは骨髄から放出された直後の未熟な赤血球で、多染性赤血球と呼ばれる。
このような貧血は、出血あるいは赤血球の破壊(溶血)が原因となり、骨髄における赤血球生産には異常がない。
正球性正色素性貧血・・非再生性貧血
赤血球の形態的特徴に乏しいものである。これは、骨髄は反応していないと考えられ、非再生性の貧血
小球性貧血
セントラルペーラーの部分がより広がり、非常に薄い赤血球となる。
このような貧血は、ヘモグロビンの合成に問題があり、鉄の不足(出血、慢性疾患など)が原因となる。慢性疾患による鉄欠乏は、貯蔵鉄の枯渇ではなく、貯蔵鉄から赤芽球への鉄輸送障害、酸化的障害による鉄利用の低下と考えられている。
大球性正色素性貧血
多染性赤血球の出現を伴わない大小不同が特徴、赤芽球の大型化(巨赤芽球)を示唆しており、その原因としては、腫瘍性増殖(赤血病、赤白血病)、骨髄異型性症候群、ビタミンB12や葉酸の欠乏などがあげられる。
赤血球指数
MCV
赤血球1個の容積をあらわすための数字 正常:正球性 増加:大球性(貧血の反応若い赤血球) 減少:小球性(鉄欠乏性貧血)
ヘマトクリット(%)÷赤血球(106/㎣)×10
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)
ヘモグロビン(g/㎗)÷赤血球(106/㎣)×10
赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの量
MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)正常:正色素性 減少:低色素性
ヘモグロビン(g/㎗)÷ ヘマトクリット(%)×100
赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの濃度
貧血をマインドマップで整理

鑑別診断リスト
出血所見→失血性貧血(TPの低下を伴うこと多い.(出血から4日以上経過しないと再生性にならないことに注意)
大球性低色素性貧血(再生性)
- ヘモバルトネラ(猫) J パベシア(犬)
- ハインツ小体(タマネギ,メチレンブルー)
- IMHA (犬で通常は球状赤血球50%<)
- 犬,フイラリア感染
- レプトスピラ症(犬)
- 中毒
正球性正色素性貧血(非再生性)
- 慢性炎症あり貧血は当初高度ではない→慢性疾患による貧血
- 腎疾患あり→腎疾患による貧血
- これら以外の貧血高度かつ進行→骨髄生検
- 急性骨髄性白血病,骨髄異形成症候群
- リンパ性白血病
- 赤芽球系低形成または赤芽球系分化障害
- 薬物,ホルモン,ウイルスなど
小球性低(正)色素性貧血(非再生性)
- 蚤ダニの濃厚寄生による鉄欠乏
- 慢性出血(消化管,体内腫瘍など)による鉄欠乏
- 骨髄生検で巨赤芽球検出→赤血病または骨髄異形成症候群
PCV上昇
- TPの上昇を伴う高PCVー脱水
- 犬の出血性胃腸炎ー臨床的な脱水所見なし これら以外が赤血球増加症 真性赤血球増加症 二次性多血症 心疾患 呼吸器疾患
- 腎のエリスロポエチン産生腫瘍