「これ以上養豚場で豚熱を発生させないための提言/呉克昌」
日本豚病研究会報No79、令和4年2月号より要約と少しばかり私の意見
「これ以上養豚場で豚熱を発生させないための提言/呉克昌」(バリューファームコンサルティング)
茨城県つくば市西大井1704-3 http://www.vfc.co.jp/
イワタニ・ケンボロー(株)在社中は技術部部長として、原々種豚場、原種豚場のヘルスコントロールの統括と ユーザーへの技術サービス及び新技術の開発・普及の仕事をし、オールイン・オールアウト、SEW技術などの普及に努めた。
提言
- 管理獣医師の積極的な関与(飼養管理、バイオセキュリティ手順のモニター)
- 豚の移動に防疫的注意を払う(明確な作業管理手順)
- 有効な消毒薬を適正倍率で使用する
- 野生イノシシ対策の強化
- 第1世代第2世代母豚の混在、移行抗体レベルを考慮した農場ごとの効果的なワクチン接種
- 最終的に通報すべき豚熱を疑う症状の共通認識を共有する
1)複数の豚の40℃を越す発熱
2)白血球数の減少
3)過去7日間の事故率が通常の倍以上
のいずれか2項目に該当する時
提言を読んで
具体的な提言をされているので大変参考になります。
養豚農家もできることは、やっておられます。それでも、管理のしっかりしている種豚場や大規模養豚場や官営養豚場でも発生してしまうほど対策が難しい。イノシシだけでなく野生動物や昆虫までが感染源となるようでは、養豚場を小さな昆虫や小動物が完璧に孫入阻止できるわけがないですから難しいですよね。
第1世代第2世代母豚の混在、移行抗体レベルを考慮したワクチンプログラムを作ろうにも、現場では里親が変わったり、発育の違いでグループが変わったり、初乳の授乳量がちがったりで一律のプログラムを作るのに苦労しています。ELISAによる抗体調査を統計的に処理して一番リスクが少なくなるようなプログラムを検討されているわけですが、予想どうりの成果を出してくれるかモニターしながらPDCAで改善していくしかありません。