膵外分泌不全(EPI)

腺房細胞の萎縮によるアミラーゼ、トリプシン、リパーゼなど消化酵素の分泌不足による消化不良(好発犬種:ジャーマン シェパー ド)

シュナウザーではくりかえし起こる急性膵炎や潜在性の無症候性慢性隣炎によって膵臓が 破壊され誘発されることがある。

臨床徴候が現れるのは 比較的若齢犬。(猫はまれ)

EPIの犬では,絨毛の萎縮,炎症細胞浸潤,および粘膜内酵素活性の変化が明らかにされている。

膵液のもつ内因子(犬、猫は主に膵臓由来)欠乏により細菌が過剰増殖し二次的にビタミンBl2ビタミンAやビタミンE)の吸収不良や抗生物質反応性下痢が引き起こされることがある。

症状

慢性的な小腸性下痢光沢悪臭のある脂肪便

異常な食欲食糞症

体重減少

④暗い青みがかった灰 色脂肪便 はあまり認められず,下痢を起こしていなくても 体重減少が認められる動物もいる 。

診 断

身体検査および臨床病理学的な所見によって診断することはできない。

①寄生虫や食事性の原因を除外

②膵外分泌機能検査:犬の EPIに対して最も感度と特異性も高い検査は血清中トリプシン様免疫反応TLI(リパーゼおよびアミラーゼ測定は役に立たない。)

血清検体は食後12時間の空腹時に採取することが望ましい

膵消化酵素の投与はTLI検査値に影響しない

発症した犬では:≦2.5/g/L(犬のTLI)。 2.5~5.0は1ヶ月後に再検査

発症した猫では:≦8.0ug/L(猫のTLI)。 8~12は1ヶ月後に再検査

治療

①線維含量が多く脂肪成分を制限した消化のよい食物と消化酵素を用いた厳密な栄養管理

②消化酵素剤

PanaKarePlus(毎食2.5g)*輸入、リパクレオン(1回2包tid)、局方パンクレアチン(1回1gtid)、ベリチーム配合顆粒(1回1gtid)

ほとんどの犬において 1週間以内に下痢の改善が認められる。

反応 がよくない場合,腸内細菌に対する治療(メトロニダゾール,テトラサイクリン,またはタイロシン食物にまぜて6週間投与する)。

血清Bl2濃度が低い猫と犬では最初は週にl度(猫では100~ 250μg,犬では250~ 500μg,皮下ないし筋肉内投与,血清濃度が正常化するまで投与する(週1回~隔週)。

酵素は酸性の環境下で不活されてしまうことがあるためH2受容体拮抗薬投与も併せて行う必要がある場合もあり。

ファモチジン1mg/kgsid

予後

生涯治療が必要となるが,予後は通常良好 。

考資料:伴侶動物診療指針Vol.6、クリニカル・ベテナリー・アドバイザー、

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