誤食・中毒
人では考えられないようなものを食べてしまったり、人には無外でも犬猫では有害のものもあるので。誤食・誤飲には気をつけたい。
犬猫はよく噛まずに丸のみすることもあるので、ビニール袋に入った食品丸ごと、石、串のついた焼き鳥1本、紐、トウモロコシの芯、飼い主の常用する内服薬PTP包装まるごと・・・これらが詰まって腸閉塞を起こしたり、腸に穴を空けて腹膜炎など
犬猫に与えるべきではない主な食べ物、チョコレート、玉ねぎ、ブドウ、キシリトールガム、アルコール、ユリは人間には害を及ぼさないが犬猫には中毒で死ぬこともあるので要注意。
目次
チョコレート
テオブロミン20mg/kg以上で中毒の可能性あり。致死量LD50 100-200mg/kg
犬は排泄速度が遅いので中毒になりやすい、症状は嘔吐・下痢・興奮・不整脈・痙攣
ミルクチョコレートは1gあたり1.0~2.0mg、ダークチョコレートは4倍ほど含まれています。ホワイトチョコレートにはテオブロミンはほとんどなし。
体重5㎏の小型犬なら50gのミルクチョコレート(100㎎)明治の板チョコ1枚全部食べると症状が出るかも、そして5枚食べると命にかかわるかもです。ホワイトチョコレートならほとんど心配ないということになる。
タマネギ、ネギ、ニンニク
溶血性貧血、嘔吐、下痢
アボガド
ペルシン が胃腸刺激、嘔吐、下痢、呼吸困難、鬱血、心臓組織周辺の体液貯留から死に至ることすらある。
マ力ダミアナッツ
半日以内に症状が出る。嘔吐・下痢・発熱・神経症状
ハワイ土産でもらったマ力ダミアナッツを食べてしましましたという
ブドウ、レーズン、グレープ
犬は特に有機酸を排泄する能力が低く、果肉に含まれる酒石酸が犬の腎臓に毒性(尿細管壊死)を持つため、急性腎不全を引き起こす中毒症状が起こる可能性があります。
症状は、24時間以内に嘔吐、下痢、食欲不振、無気力、腹痛、尿量の減少、尿毒症、高カルシウム血症
キシリトール(犬)ガム、いちご
キシリトール0.1mg/kg 摂取30分で低血糖、下痢、嘔吐、運動失調、虚脱、痙攣発作。犬の体重1Kgあたりキシリトール0.2g以上で低血糖の症状が現れ、1.6g以上で肝細胞の壊死が始まるといわれています。
ガム以外にもイチゴには、100gあたり約0.2から0.6グラムのキシリトールが含まれてほうれん草は、100gあたり約0.9グラムのキシリトールが含まれるそうで、犬の体重1kgあたり中約4個(60g)で低血糖症状が見られ始め、約30個(約400g)で肝臓の壊死が起こることになります。
ユリ(猫)
ユリのすべての部分が有毒ですが、花が最も有毒です。花、葉2~3枚で致死的で症状は嘔吐・流涎・.多尿・無尿・脱水、急性腎障害。猫の生活域には絶対に置かないでください。
ユリはミトコンドリアの機能と細胞のエネルギー生成を妨害し近位尿細管細胞の変性、壊死による急性腎不全、膵腺房細胞の変性を発症します。
猫にユリ中毒をおこすのは、ユリ属とヘメロカリス属(ニッコウキスゲ)に属する植物のみ
ニッコウキスゲ、 オニユリ、 テッポウユリ
たばこ
ニコチン1mg/kgで1時間以内に発現(嘔吐、運動失調、縮瞳、徐脈、頻脈、興奮、けいれん、沈鬱 LD50:9.2mg/kg タバコ1本にニコチンが10-20mg程度含まれている
イベルメクチン
駆虫薬 2.5mg/kg以上だと視覚障害、縮瞳、流涎、痙攣、嘔吐、下痢
フィラリア予防で12μg/kgが最大なので200倍くらい飲むと中毒が発現する可能性あり。
アセトアミノフェン(鎮痛解熱剤)
猫10mg/kg、犬50mg/kgで要注意
嘔吐、メトヘモグロビン血症、肝障害
催吐
- 以下のような場合にのみ催吐する
- 毒物を摂取したのが60分以内である。
- 中毒動物は十分意識があり,元気である。
- 摂取したトキシンが何であるかわかっており,強酸や強アルカリのような強い腐食性の物質や石油留出物ではない。腐食性の物質は,堰吐中に再度食道に接触することになり,これがさらに食道の傷害を起こす。石油留出物(炭化水素)は,唱吐中に誤喋を起こす危険性が極めて高い。
- 以下のような場合には,催吐してはならない
- 毒物を摂取したのが60分以上前である。
- 中毒動物は虚弱状態や重篤な状態にある。
- 中毒動物は意識変調状態に陥っている。トキシンの作用で動物の中枢神経系が過興奮状態にある場合は,痩醗を起こす危険性が高い。胃内容物の誤喋は,知覚鈍麻状態や昏睡状態にある中毒動物が唱吐した時に最も起こりやすい問題である。
- トキシンが強酸や強アルカリのような腐食性の物質であったり,石油留出物である。腐食性の物質は,堰吐中に再度食道に接触することになり,これがさらに食道の傷害を起こす。石油留出物(炭化水素)は,唱吐中に誤喋を起こす危険性が極めて高い。
- 摂取したトキシンが不明である場合。催吐による利益と,誤喋や食道組織へのトキシンの再暴露の危険性を比較すると,摂取トキシンが明らかになっていない症例ではリスクが大きすぎる。
処置
- アポモルヒネ 0.04-0.08mg/kgの静注により短時間で曜吐を続発することができる。副作用に対してはナロキソン静注投与が効果的。猫での使用はあまり推奨されない
- トラネキサム酸
- 3%過酸化水素 (才キシド ール) 1-5ml/kg 。数回繰り返し投与が可能。 特に副作用のリスクは少ない誤嚥に注意する。
- キシラジン 犬では1.1-2.2mg/kgの静注により 5-10分で猫ではO.44kg/kg皮下注で十分な効果がみられる.
- 食塩 (NaCI) 犬および猫でティースプーン 1-3<羽呈度が効果的。嘔吐が引き起こされなかった場合、 高ナトリウム血症を引き起こす。特に幼若な患者では脳浮腫、 痙攣などの中郡症状を引き起こすことがある。催吐剤としては推奨されない。
胃洗浄
- 中毒動物は軽度に麻酔しなければならない。
- 可能であれば,2本のチューブを胃に挿入する。2本が不可能であれば,1本だけでも挿入する。動物はしっかりと横臥させ,頭部が胃よりも下になるように診察台を傾斜させる。
- 鼻の先端から最後肋骨までの距離を測り,胃洗浄チューブに印をつける。この胃チューブは少なくとも気管チューブと同じ太さ(より太い方が好ましい)で,これは排出用チューブとする。
- 細い方のチューブにも同様に印をつける。これは注入用チューブとする。
- 両方のチューブを胃まで(チューブ上に印された位置まで,あるいは胃内容物がチューブから出てくるところまで)ゆっくりと挿入する。チューブ上の印の位置以上にチューブを押し込んではならない。
- 温めた水や生理食塩水(体温程度)を細い方のチューブから注入して胃を満たし,胃洗浄を行う。過剰に洗浄液を注入して,不必要に胃を膨らませすぎないようにする。5~10mL/kgの容量が適当である。胃に注入した洗浄液は,太い径のチューブから胃内容物とともに排出する。胃から排液されない場合は,チューブを押し込みすぎたか,チューブが詰まっているかである。
- チューブをゆっくりと抜いてみて,排液が始まったら胃洗浄を続ける。このようにしても排液が全くみられない場合は,詰まっている胃内容物を除去するために,太い径のチューブから少量の水あるいは空気を注入してみる。これでもまだ排液がない場合は抜管し,チューブを点検する。その後,静かに再挿管して排液を確認する。排出されてくる洗浄液が透明になるまで,胃洗浄を継続する。
- 胃が食物で満たされている症例では大量の胃洗浄液が必要であり,洗浄に要する時間もかなりかかる。胃が完全に空になることを確実にするために,動物を交互に右と左横臥位にして,胃洗浄を行うべきである。ある症例では,排出用チューブを静かに押し込んだり引いたりして胃内容物を撹枠すると,チューブの詰まりを除去するのに役立つ。このような操作を行う時は,咽頭や食道,胃を傷つけないように静かに行わねばならない。
- 排液がきれいになったら,一方のチューブを曲げて引き抜く。気管チューブがまだ適切な位置に挿入されていることを確認し,カブは膨らませたままにしておく。残っているチューブから,活性炭を徐々に注入する。チューブを曲げてあるいは留め金で締めて引き抜く。
- 誤嚥の危険を最小にするために,嚥下反射が戻ってくるまで,カブを膨らませた状態の気管チューブを挿入したままで動物を回復させる。口腔咽頭部に液体や活性炭,胃内容物が残っていないか注意深くチェッ