マラセチア皮膚炎

酵母様真菌マラセチアは皮膚常在細菌で犬の外耳炎の原因の多くを占めます。皮膚のマイクロバイオームを構成する微生物の一つで皮脂を分解(餌にしている)する有用な細菌でもありますが、皮膚のバリア機能低下、アトピー性皮膚炎、免疫力の低下、脂漏症、遺伝、高温多湿な環境で皮膚常在細菌マラセチア菌が異常に増えるとかゆみや炎症 を引き起こします。

耳を痒がってますという主訴で耳垢が茶色くワックス状であればまずマラセチアを疑ってテープストリップ検査してマラセチア菌を確認します。最近よりでかくてラグビーボールのような形ですからすぐ判別できます。ついでに白血球とかブドウ球菌とかの存在の有無もみてます。

外耳のほか皮膚が重なる間擦部(顔のシワ、首の内側、脇や股、指の間、尾のつけ根)も好発部位です。

外耳なら抗真菌剤の入った点耳薬、皮膚なら抗真菌剤の入った薬用シャンプー(2%ミコナゾール+2%クロルヘキシジン)で週2回、重症ならイトラコナゾール5mg/kg/SIDまたは週2回投与を行うのが一般的な治療でしょうか。

ケトコナゾールよりもイトラコナゾールのほうが副作用が少ないと言われてますが副作用で嘔吐・下痢・嗜眠・肝機能低下がありますので肝機能検査をしておいたほうがよろしいでしょうか。

最初から5mg/kgSID,週末2日~3日間だけの週末療法(イトラコナゾールパルス療法)で連日投与と同等の効果、 1クール1週間で3クールごとに評価

混合感染があったり再発しやすいので、日頃のスキンケア、基礎疾患の治療・予防に気をつけたいところです。

皮膚のバリア機能を保湿、弱酸性に保って細菌を増えにくくする、良い常在細菌を活かすなどで保てると薬を使わずにコントロールできるかもしれないので、皮膚のバリア機能を理解しておくのも大切です。

獣医

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