かゆみとIL-31

かゆみの定義「かきたい衝動を引き起こす不快な皮膚の感覚」で発症原因やメカニズムは複雑怪奇で解明されていないところもあり、アトピー性皮膚炎の治療は難しいことが多いものです。

犬猫ではこの主訴で来院される方が多いです。

ノミ・ダニなどの異物を取りのぞく生体防御機能のひとつですが、皮膚の刺激で感じるかゆみと脳がかゆいと感じて皮膚がかゆくなるふたつの経路があります。

かゆみを感じる皮膚のセンサーから神経経路(感覚受容器→脊髄→視床→大脳皮質→1次体制感覚野)で伝達されて脳でかゆいと感じるそうです。

かゆみの感覚受容器は皮膚C神経線維のNP1、NP2,NP3で痛みの感覚受容器はPEP1と別の受容器、かゆみは痛みの弱い刺激と言われていたのは間違いだったそうです。

IL-31(かゆみ物質)は選択的にかゆみ受容体を刺激し(2004,グロス)、IL-4,13はかゆみの閾値を下げるように働く、つまりアトピーのかゆみの原因はTh-2細胞が出すサイトカインIL-31、IL-4,IL-13ということがわかりました。

このかゆみ物質だけを選択的にブロックする薬が最近のアトピー治療に使われています。

①IL-31を中和する薬ロキペドマブ(サイトポイント:注射薬)

②IL-31、IL-2、IL-4のヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害する薬オクラシチニブ(アポキル:経口薬)

このブログのもとネタの本「皮膚のふしぎ」著者椛島先生はJAK阻害薬の外用薬を世界初で開発されました。この本は一般人向けに皮膚病をわかりやすく解説しているのでお勧めです。

わかりやすく解説したのは一般の人にも正しい知識をもってもらい、間違った民間療法で皮膚病を悪化させないようにしてもらいたいというのが動機のようです。本質を理解している一流の先生の解説はわかりやすいですが、そもそもの基礎知識がないととっつきにくいかもしれません。

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