「うつ・不安・不眠の薬の減らし方」原井宏明(精神科医)
”この本どうぞご自由にお持ちください”。と置いてあったので、それではと拾って、拾い読みしました。
心療内科はうつを増やす?
うつ病の診断基準改定(ハードルが下がった104万人)
軽い段階から早期治療する方向に変わった
心療内科の増加(精神科と中身は同じ)受診しやすくなった
製薬会社の抗うつ剤のキャンペーン うつ病はこころの風邪
副作用が少ない新しい抗うつ薬が続々と出てきた
情報量が増えた情報過多で脳が疲労している
生きづらさを病気認定してしまう
うつ病と誤診されやすい認知症、双極性障害、甲状腺機能低下症、低血糖
うつ病の薬の副作用でうつ病になる
依存性のあるベンゾジアゼピン系 薬漬け
簡単にまとめると・・・繁盛している精神科の治療はガイドラインの建前とは違う。
最初はとりあえず、飲んでもらい副作用が少なく効果がすぐに体感できる薬(ベンゾジアゼピン系抗不安薬、抗ドパミン薬ドグマチール)から処方する。
患者は、一度良さを覚えれば手放せなくなり、またいつものお薬くださいとなり、お客さん(患者)が増え効率的に稼げる。こんなビジネスモデルを批判し、認知行動療法でうつ病の原因を治療しましょうということでしょうか。
本の中でうつ病の治療薬SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の行動薬理学的試験の効果が紹介されている。これが強制水泳試験という残酷な試験なのである。
「水を入れたコップにマウスをいれいつまで泳ぎ続けるか、いつ諦めて沈んでしまうか測定する試験」をすると、抗うつ薬を飲んだマウスは泳ぐ時間が長くなるのだそうだ。
なるほど、人間に当てはめると、複数のストレスで脳の機能不全に陥っているうつ患者に抗うつ薬を飲ませて少しでも長く仕事をさせようとしている。残酷な社会ですな!
うつ再発率(前向きコホート研究、Kanai,Takeuchi)
半年後88%寛解 1年後37%再発/2年後10%/再発/6年後再発7%/6年後再発しない確率34%
やっぱり薬では治らない。精神的に追い込むような上司のもとでうつになるくらいなら、仕事を止め見栄やプライド捨てて好きなことで生きていく方がましなんじゃないでしょうか。
他の本で読んだ知識ですが、薬よりも、禁酒・早起き・運動の方が効果があるそうです。
それで治らなかったら治すのを諦める。苦労や苦痛から逃れようとする気持がうつ病にさせるのだから、そのときうつ病が治るかも。
精神科のホンネ?
著者が精神科医師のアンケートを取ったところ
年間の新患数55~1000人、内うつ、不安障害、ストレス20~90%
治療法はSSRI(セロトニンを増やす)、ベンゾジアゼピン系(GABAを増やす)、ドグマチール(ドーパミンを増やす)の併用
マニュアルどうりの認知行動療法している医師は0、精神科の新患はうつ病、パニック障害、社会不安障害が多い。
医師は最初は飲んでもらいやすい副作用が少なく効果が実感できる薬をSSRI(セロトニンを増やす)、ベンゾジアゼピン系(GABAを増やす)、ドグマチール(ドーパミンを増やす)の併用を処方する。
面倒なことは後回しにして楽になってもらい、再診してくれることが一番という考え方が主流。
ガイドラインにある認知行動療法をしている医師は少ない。心理療法士も話を聞くだけで費用が掛かる割に効果が少ないのが現実。
日本うつ病学会治療ガイドライン
① 複数のストレスになる出来事が生じている (Kendler et al, 1998)時に、周りのサポートを十分 受けられない環境(Wang, 2004)が重なる。
② さらに、十分な睡眠が取れず、脳の機能回復が不十 分になる(Gillin, 1998)。
③ 脳は出来事を処理しきれず、機能不全が起きる。
④ 脳の機能不全は否定的な見方(物事の否定的側面ば かりを見てしまう)を引き起こす(Hirano et al, 2002)。
⑤ 否定的な見方によって、「周囲のサポートを過小評 価」して、一人で問題を抱え込んでしまう。同時に、「負 荷を過大評価」して、普段なら気にならなかったこと まで「とても大変だ」と感じて、実際以上にストレスと 感じる出来事が増えてしまう。さらに、不安が生じて、 睡眠が取れなくなる。 以上の結果、「悪循環が形成されてしまうのがうつ病 である」
■全例に行うべき基礎的介入 ・患者背景、病態の理解に努め、支持的精神療法と心 理教育を行う
■基礎的介入に加えて、必要に応じて選択される推奨 治療 ・新規抗うつ薬 ・認知行動療法 https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/20190724.pdf